はじめに
「障害年金を受給しながら働いても大丈夫なのだろうか。」
障害年金を受給している方の多くが、一度はこのような不安を抱えたことがあるのではないでしょうか。
私もその一人でした。
少しでも生活にゆとりがほしい。
できることなら社会とのつながりも持ち続けたい。
そう思う一方で、
「働いたら障害年金は止まってしまうのではないか。」
そんな不安がなかなか消えませんでした。
インターネットで調べても、
「働くと止まる」
「大丈夫だった」
「更新で落ちた」
など、さまざまな情報があり、何が本当なのか分からず、ますます不安になったことを覚えています。
この記事は、制度を解説するものではありません。
障害年金を受給している一人の当事者として、私自身の体験をお伝えする記事です。
もちろん、障害の種類や症状、働き方は人それぞれ違います。
そのため、私の経験がすべての方に当てはまるわけではありません。
それでも、
「こういう働き方をしている人もいるんだ。」
と、一つの参考例として読んでいただけたら嬉しいです。
私の現在の働き方
私は現在、国民年金の障害年金(障害基礎年金)を受給しています。
そして現在は、週2日、1日3時間だけスーパーでパート勤務をしています。
仕事内容は、
商品の品出し
売り場の整理
時々レジ対応
が中心です。
勤務時間も短く、体力的な負担が大きくならないように働いています。
以前の私は、なるべく稼げる力をつけるためにもフルタイムで働かねばと思い込んでいました。
しかし実際には、自分の体力や集中力には限界があります。
その限界を認めたうえで働き方を見直した結果、今の週2日・1日3時間というスタイルにたどり着きました。
収入は決して多くありません。
それでも、私にとっては「続けられること」が何より大切です。
無理をして体調を崩してしまえば、仕事だけでなく日常生活まで苦しくなってしまいます。
だから私は、「頑張れる日」ではなく、「無理なく続けられる働き方」を選ぶようになりました。
以前は事務職として働いていました
実は現在の仕事に就く前、私は事務職として働いていました。
仕事内容は、書類作成やデータ入力など、常に頭を使う仕事です。
事務職は、一見すると身体への負担は少ないように思えます。
しかし私にとっては、精神的な負担がとても大きい仕事でした。
複数の仕事を同時に進めたり、細かな確認をしたり、急な依頼に対応したり。
周りの人には普通にできることが、私にはとても難しく感じられました。
その結果、小さなミスを繰り返すようになりました。
もちろん、一生懸命やっていました。
それでも思うように仕事ができず、
「私は仕事ができない人間なんだ。」
「みんなに迷惑をかけている。」
そんなふうに自分を責め続けていました。
仕事で失敗するたびに自己肯定感は下がり、
職場へ向かうこと自体がつらくなっていきました。
これは後からわかったことなのですが、このような小さなミスの多さは障害特性でもありました。
ダブルチェックなど働く体制を整えてくださる環境であれば、かなり防げることかもしれません。
軽作業という働き方に変えて気づいたこと
現在のスーパーでの仕事に変わって、一番驚いたことがあります。
それは、
「自分にも安心して働ける仕事があった。」
ということでした。
もちろん、スーパーの仕事も決して楽ではありません。
立ち仕事ですし、体力も使います。
ですが、私の場合は、以前の事務職のように複雑な判断を何度も求められることが少なく、自分には合っていると感じました。
品出しは、一つひとつの商品を丁寧に棚へ並べていく仕事です。
もちろん注意は必要ですが、私にとっては集中しやすく、大きなミスもほとんどなく働けています。
これは障害の種類や特性によって違うと思います。
だから、「軽作業なら誰でも向いている」と言いたいわけではありません。
ただ私自身は、知的な負荷が高い仕事よりも、身体を動かしながら進める仕事のほうが、精神的な負担が少なく感じています。
このことに気づけたのは、私にとって大きな収穫でした。
お客様の「ありがとう」が励みになる
スーパーで働いていて、嬉しいことがあります。
それは、お客様から
「ありがとう。」
と声を掛けていただけることです。
品物の場所をご案内したとき。
レジでお会計を終えたとき。
ほんの短い言葉ですが、その一言で「今日も働いてよかった」と思える日があります。
以前の私は、「仕事=失敗する場所」というイメージを持っていました。
でも今は違います。
もちろん失敗がゼロではありません。
それでも、大きなミスなく働けていることが少しずつ自信につながっています。
そして、お客様との小さなやり取りが、毎日の励みになっています。
障害年金を受給しながらパートはできるの?
私がパートを始める前、一番気になっていたのは
「障害年金をもらいながら働いても大丈夫なのだろうか。」
ということでした。
インターネットで調べると、
「働いたら障害年金は止まる。」
という意見もあれば、
「普通に働いている。」
という人もいて、何を信じたらよいのか分かりませんでした。
実際には、障害年金は一人ひとり障害の状態や生活状況、働き方などを総合的に見て判断される制度です。
そのため、「何時間までなら絶対大丈夫」「この金額なら必ず支給される」と一律には言えません。
ここからは、制度の説明ではなく、私自身の経験をお話しします。
私は以前、週30時間の障害者雇用で働いていました
実は現在の短時間パートの前に、私は約3年前まで障害者雇用で事務職として働いていました。
勤務時間は週30時間です。
現在よりもかなり長い時間働いていました。
それでも、その間に障害年金が支給停止になることはありませんでした。
もちろん、これは私個人のケースです。
同じ結果になるとは限りませんし、障害の内容や症状、働き方によって判断は異なります。
私個人が感じているのは、どれだけ生活に支障をきたしているかなどの制限事項はかなり重要視されている気がします。
あくまでも私の感じていることに過ぎませんが。
一方で、「働いているから必ず止まる」というわけではないことも、私は身をもって経験しました。
この経験があったからこそ、現在のパートを始めるときも、「無理のない働き方なら続けられるかもしれない」と考えられるようになりました。
「いくらまで働けるの?」という疑問について
障害年金を受給している方が最も気になることの一つが、
「収入はいくらまでなら大丈夫ですか?」
という疑問ではないでしょうか。
私も何度も調べました。
ですが、明確な「〇〇万円まで」という基準は見つかりませんでした。
そこで私は、年金事務所で相談することにしました。
その際に説明を受けた内容では、厚生年金の障害年金については、児童扶養手当のような所得制限で支給が決まる制度ではないという趣旨のお話でした。
また、更新時には診断書だけではなく、生活状況や就労状況なども含めて総合的に判断されると理解しています。
私は現在、国民年金の障害年金(障害基礎年金)を受給していますので、厚生年金の障害年金とは制度が異なる部分もあります。
残念ながら国民年金の障害年金(障害基礎年金)では所得制限があります。
そのため、この記事では「私が相談した内容」と「私自身の経験」をお伝えするに留めたいと思います。
もし気になる方は、ご自身の状況について年金事務所や社会保険労務士などの専門家へ相談されることをおすすめします。
年金制度も絶えず、変わってきますから。
支援者から言われた一言で気持ちが少し楽になった
障害者就労支援をしてくださっている支援者の方にも、私は同じ質問をしました。
「少し働いただけで、障害年金は止まってしまうのでしょうか。」
そのときにいただいた言葉が、とても印象に残っています。
「よほど高い年収でもない限り、それだけで障害年金が止まると心配しすぎなくても大丈夫ですよ。」
もちろん、これは制度上の保証ではありません。
あくまでも私が相談した際にいただいたアドバイスです。
それでも、その言葉を聞いて、必要以上に怖がらなくてもいいのだと思えるようになりました。
不安になると、どうしても「最悪の結果」ばかり想像してしまいます。
私自身もそうでした。
でも、一人でインターネットを見続けるより、年金事務所や支援者に相談したことで、不安はずいぶん小さくなりました。
働けるようになったからといって、健康になったわけではありません
私がこの記事で一番伝えたいことがあります。
それは、
「働ける=病気や障害が治った」ではない。
ということです。
私は現在、週2日、1日3時間で働いています。
この働き方だからこそ続けられています。
もし週5日、6時間勤務に戻したらどうなるかと聞かれたら、正直、自信はありません。
体調には波があります。
朝起きるのがつらい日もあります。
疲れが翌日まで残ることもあります。
だからこそ、自分の限界を理解しながら働いています。
以前の私は、「自分は怠けているのではないか?」と思い悩んでいましたし、周囲からもそのように見られ責められ続けました。
しかし今は違います。
長く続けることの方が、私にとっては何倍も大切です。
「できること」に目を向けるようになった
以前は、「できないこと」ばかり数えていました。
事務職でミスをすると、
「私は頭が悪い。」
とよく思っていました。
でも、スーパーで働くようになって気づいたことがあります。
人には、それぞれ向いている仕事があります。
私にとっては、軽作業を中心とした仕事の方が、自分の力を発揮しやすい環境でした。
「できないこと」を頑張り続けるより、
「できること」を少しずつ積み重ねる方が、自分らしく働けるのではないか。
今はそんなふうに考えています。
私が短時間勤務を続けるために大切にしていること
今の働き方を始めてから、私が一番大切にしていることがあります。
それは、
「無理して頑張りすぎないこと」です。
以前の私は、会社に貢献しなければいけないと思っていました。
もっと働かなければ。
もっと役に立たなければ。
迷惑をかけてはいけない。
そんな気持ちばかりが強く、自分の体調よりも仕事を優先していました。
その結果、無理を重ねてしまい、体調を崩すこともありました。
今は考え方が少し変わりました。
「今日頑張ること」よりも、「来週も働けること」の方が大切だと思うようになったのです。
そのため、少し疲れがたまっていると感じたら、家ではできるだけゆっくり過ごすようにしています。
体調が悪い日は、自分を責めるのではなく、「今日は体を休ませる日」と考えるようになりました。
家族がいるからこそ、無理をしない働き方を選びました
私は現在、夫と看護学生の娘との三人暮らしです。
夫も持病を抱えているため、家族みんなが健康というわけではありません。
だからこそ、「私が無理をして倒れないこと」も家族にとって大切だと考えています。
以前は、「もっと稼がなければ」と焦る気持ちもありました。
もちろん、今でも生活に余裕があるわけではありません。
それでも、自分の体調を崩してしまえば、仕事だけでなく家族との生活にも影響が出てしまいます。
そのため、今は「長く続けられる働き方」を第一に考えています。
収入を増やすことも大切ですが、それ以上に、自分の生活を守ることを優先しています。
なにより、お金のやりくりは知恵を使って工夫すると案外、なんとかなるものです。
働くことで得られたものは、お金だけではありません
パートを始めて感じたのは、お給料以上に得られたものがあるということです。
スーパーでは、お客様から商品の場所を聞かれたり、レジで「ありがとう」と声をかけていただいたりすることがあります。
ほんの数秒のやり取りですが、その一言に励まされる日があります。
こうした「今日も無事に働けた」という小さな積み重ねが、自信につながっています。
私にとっては、それが何よりの財産です。
「できないこと」ではなく、「できること」を大切にする
若い頃の私は、「できないこと」にばかり目を向けていました。
周りと比べて落ち込み、自分を責める毎日でした。
でも今は少し考え方が変わりました。
人には、それぞれ得意なことと苦手なことがあります。
障害の有無に関係なく、それは誰にでもあることです。
私の場合は、事務職よりも、身体を動かしながらコツコツ取り組む仕事の方が、自分の力を発揮しやすいと感じました。
もちろん、これは私自身の経験です。
障害の種類や特性によって、向いている仕事は人それぞれ違います。
だからこそ、「世間で良いと言われる仕事」を探すのではなく、「自分に合う仕事」を探すことが大切なのではないでしょうか。
それに気づいてからは、以前よりも気持ちがずいぶん楽になりました。
これから働きたいと思っている方へ
もし、この記事を読んでくださっている方の中に、
「少し働いてみたいけれど、不安で一歩が踏み出せない」
という方がいらっしゃるなら、お伝えしたいことがあります。
最初から頑張りすぎなくても大丈夫です。
私も今は、週2日・1日3時間という働き方です。
人によっては「それだけ?」と思われるかもしれません。
でも、私にとっては、この働き方だからこそ続けられています。
大切なのは、周りと比べることではありません。
昨日の自分より少し前に進めたなら、それだけで十分だと思います。
もし仕事が合わなければ、違う仕事を探してもいい。
働く時間を減らしてもいい。
休むことを選んでもいい。
自分を守りながら働くことは、決して甘えではありません。
長く続けるための、大切な選択だと私は思っています。
まとめ
障害年金を受給しながら働くことに、不安を感じる方は少なくありません。
私自身も、「働いたら障害年金が止まるのではないか」「また仕事で失敗するのではないか」と何度も悩みました。
それでも、自分に合った働き方を探し、今では週2日・1日3時間のパートを無理のない範囲で続けられています。
私自身もそうでしたが多くの方に人気の事務職は、AIの台頭により減少傾向です。
大きな企業さんでは事務職の余剰人員を多く抱えており、いま事務職は狭き門となっているようです。
ですから障害年金を受給しながら働く道は、一つではありません。
それぞれの体調や生活に合った働き方があります。
そして仕事内容も様々です。
この記事はあくまでも私自身の体験ですが、同じように不安を抱えている方が、「自分にもできる働き方や仕事があるかもしれない」と感じるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
そして、焦らなくても大丈夫です。
自分のペースで、一歩ずつ進んでいけばいい。
私は今も、その途中です。
みなさんが幸せを感じながら充実した日々を穏やかにかつ、健やかに過ごせることを願っています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。